Netflixドキュメンタリー感想「アイ・アム・ア・キラー」

アイ・アム・ア・キラーはNetflixで視聴可能な犯罪ドキュメンタリー。現在(2020年8月22日)ではシーズン2まで配信されている。

この番組で登場するのは死刑判決が下り死刑執行を待つ死刑囚だ。彼らの人物像、生い立ち、考え、周りの人物から見た死刑囚、なぜ彼らが死刑に至ったのか、様々な視点から死刑囚の人物そのものを浮き彫りにしようという番組だ。

シーズン1第一話の死刑囚はジェームズ・ロバートソン、タイトルは「手段としての殺人」。ジェームズは未成年の時に犯罪を犯し、懲役刑を下された。そこから服役中に罪を重ね長期の懲役刑を次々と重ねていく。懲役刑での待遇に不満を持った彼はある時同室の服役囚の首を絞め殺害、今よりもっと待遇のいい死刑囚監房へ行くことを望んだ。

番組はまず死刑囚ジェームズへのインタビューから始まり、彼を見ていた周囲の人へのインタビューの数々を見せていく。最後にジェームズへのインタビューで締められる。

 

感想

始めは親からの愛を受けずに育ち非行に走り、懲役刑を下されたジェームズが雪だるまのように罪を重ね長期懲役刑となり、最後は殺人を起こし自ら死刑を望む。彼が犯した罪は非常に重たいものだし死刑も妥当なのだろう。だが番組中に登場した彼の弁護士の言葉のように彼がそこに至るまでの境遇に私は同情を禁じ得ない。

社会から隔絶された刑務所においても人間関係や刑務所内の社会は存在するはずだ。でも彼はそんな小規模な社会においても馴染めず孤独に生きてきた。

この番組で映し出される彼は世間一般から見ればどうしようもないクズだし更生を望めないとして死刑になった人間だ。でも彼が死刑に至るまでどこかで正しい方向へ行くための道は無かったのだろうかと考えたくなる。

番組の最後に再度ジェームズへのインタビューが映し出される。そこに出てくる彼は死刑を宣告されてから初めて自分に向き合えた、そんな風に私の眼には映った。

最後にジェームズ・ロバートソンがどんな風に人々の記憶に残りたいかと聞かれた際の言葉を載せる

「常に真実を話す者、かな」